あれ? 誘ってる?
ユリさん家での初めてのお泊り。
私はソファで横になりながら
(このままユリさんと朝を迎えるのか~・・)
と、ぼんやり考えていた。
すると目の前にユリさんがやってきて、ちょこんと座った。
「大丈夫です? お水飲みます?」
と顔を覗き込まれ、なんだか恥ずかしくなる私。
少し顔を隠しながら
『いや、大丈夫・・』
と言った。
そしてそのままの状態で少しおしゃべりをした。
何を話したかはあまり覚えていないけど、二人だけの空間で、クスクス笑いながらお喋りをしたのは、すごく幸せな気分だった。
でもきっと、ユリさんは私と同じ気持ちではない。
私のことは、せいぜい「話の合う先輩」ぐらいにしか思っていない。
だから・・・
好きになってはいけない。
そう自分に言い聞かせ、私は目の前で笑うユリさんを見つめていた。
だけど・・・
その数分後、またしても私はユリさんに心奪われてしまう。
それは本当に不意な出来事だった。
おしゃべりをしている途中、ユリさんの視線が自分の手に向けられていることに気づいた私。
でも、とくに気にもとめず話を続けていたら、急にユリさんが黙ってしまった。
私は「?」と思いながらユリさんを見ていると、ユリさんが急に私の手の甲をスーッと指でなぞりながら、こう言った。
「私、こうゆう血管好き・・・」
その瞬間、なんとも言えない気持ちになった。
なんていうか、すごいエロい雰囲気だった。
このままユリさんの腕を引き寄せて、キスでもしてやろうかって一瞬本気で考えた。
でも・・・
チキンな私は、
『ひぃぃぃぃぃ』
っていう、よくわからないリアクションをして手を引っ込めてしまった。
ただあの空気はマジでヤバかった。
(あれ? ユリさん? 誘ってる?)
って本気で思った。
あのまま私がふざけずにいたら、どんな展開になっていたんだろう。
もしかしたら、もしかしてたのかもしれない。
そんな風に考えると、なんだかすごくドキドキしてしまった。
でも結局、それ以上は何もなく私たちは眠りについた。
そしてそのまま楽しい1日は終わった。
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