ずーっとあなたに恋してた

苦しくて、切なくて、でも愛おしい。そんな恋の物語。

ドキドキが聞こえてしまう!!

結局、二次会でもユリさんとはほとんど話せなかった。

 

ユリさんと一緒に飲めることを楽しみにしていたんだけどなぁ~

 

と少し落ち込んでいると、ユリさんの同僚のエミちゃんが私たちの席にやってきた。

 

「木下さ~ん!○○で三次会あるらしいんで行きましょ~!」

 

あからさまに酔っ払っている感じのエミちゃんが、私の腕をとりながらそう言った。

 

すると後ろからユリさんもやってきて

 

「いぇ~い!」

 

と、持っていたワイングラスを突き出してきた。

 

 

ん‥?

 

ユリさん、酔っ払ってる?

 

 

と、少し驚いていると私と同じ席に座っていた男性社員たちが

 

「いぇ~い!!行こ―!!」

 

と盛り上がる。

 

もうみんないい感じに酔っていてテンションが高い。

 

もちろんユリさんが行くなら私も行く!!

 

ということで私もグラスを突き上げ

 

『よしゃ!行こ―!!』

 

と高らかに声を張り上げた。

 

 

それからみんなでワイワイと歩きながら三次会の店まで移動した。

 

その間もユリさんが気になったけど、ユリさんは私の後ろで営業部のエース桃田さんと親し気に話ながら歩いている。

 

私はエミちゃんに腕を引っ張られながらなすがまま(笑)

 

後ろのふたりの会話が気になりながらも、そうこうしているうちに店に到着した。

 

 

 

三次会の会場は、割と広めなミュージックバーだった。

 

社員の知り合いが経営しているバーで、この日は貸し切りにしてくれていたそうだ。

 

 

ドアを開けると中はすでに騒がしい。

 

空いている席を探しているとテーブル席に座っていた先輩社員が

 

「こっち座りなよ~」

 

と声をかけてくれて、一緒に座らせてもらうことに。

 

でもふと気づくとユリさんは、桃田さんと別の席へ。

 

(えぇ~、ユリさ~~~ん(ノД`)・゜・。)

 

と思いながらも、自分から声をかけることができない私。

 

先輩たちにもせっかく声をかけてもらったので、とりあえずはこの席でしばらく呑むことにした。

 

 

それからしばらくたった頃。

 

お手洗いに行った帰りに、ベンチソファーに座っていた桃田さんに声をかけられた。

 

「お~、木下さ~ん」

 

と、ニッコリ笑う桃田さん。

 

(あれ?ユリさんは一緒じゃないのか?)

 

と思いながら、私はソファに腰かけ桃田さんと話をすることにした。

 

 

桃田さんは私より2つ年上の営業部のエース。

 

仕事はできるし、優しいし、ノリもいい。

 

細身で身長も高く、いかにもデキる男といった感じ。

 

こうやって話していても、桃田さんは聞き上手だからついつい喋ってしまう。

 

もしもユリさんが桃田さんのことが好きだといっても、桃田さんなら応援したい。

 

そう思えるほど、桃田さんはいい男なのだ。

 

 

するとそのとき、ふと背中に気配を感じ、誰かが私の隣に座ったのを感じた。

 

私は桃田さんに体を向けた状態で喋っていたので、誰が座ったのか分からなかったのだけど、おしゃべりに夢中になっていた私は気にせず喋りまくっていた。

 

でも次の瞬間、その誰かが私の背中に頭をトンッと預けてもたれかかってきた。

 

(ん?誰だ?)

 

と思って振り返ると・・・

 

 

ユリさんやないか――――――い!!!

 

 

すごく酔っ払っている感じのユリさんが、私の背中にもたれながら目をつむっている。

 

その姿がかわいすぎて、私の体が一気に熱くなる。

 

ドキドキと心臓が速くなり、

 

(ヤバい!ユリさんにドキドキしてるのがバレてしまう!!)

 

と内心焦っていると、桃田さんがユリさんの顔を覗き込みながら

 

「お~い、大丈夫かぁ?」

 

と笑った。

 

私もドキドキを必死に抑えながら

 

『ユリさん、飲み過ぎ~(笑)』

 

と、いたって普通に声をかけると、ユリさんはむくっと起きて、今度は私のひざの上に頭をのけってきた。

 

そして再び目を閉じるユリさん。

 

私はそっとユリさんの頭をなでながら

 

「大丈夫?」

 

と声をかける。

 

ユリさんは返事もせず眠ったまま。

 

(ユリさんでもこんな酔っ払うことあるんだ~)

 

と思いながら顔を覗き込むと、ユリさん家にお泊りした朝のことを思い出して胸が締め付けられた。

 

 

そしてその後、ユリさんは家が同じ方向のエミちゃんと一緒にタクシーに乗って帰宅した。

 

結局あまり話はできなかったけど、最後の最後にユリさんにドキドキとさせられ、それだけでもなんだか幸せな気持ちになった。

 

 

 

 

 

 

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